当社グループの事業活動により、当社グループの従業者をはじめとして、お取引先さまの従業者、地域にお住まいの皆さまなど、さまざまな人びとが影響を受けていることを認識しています。当社グループは、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」にもとづき、事業活動に関する人権への負の影響を特定・評価、防止・軽減、是正するための仕組み構築を通して、人権尊重に取り組んでいきます。
人権尊重の取り組みの全体像当社グループでは、人権方針に基づき、各部門・専門委員会がそれぞれの領域で人権課題への対応を推進しています。
近年、世界的に加速する「ビジネスと人権」への対応を進めるため、2022年度から関係部門(リスク管理、コンプライアンス、人事、調達、サステナビリティなど)による議論を重ね、人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施と実効性向上を図ってきました。2026年度からは、コンプライアンス委員会傘下に設置した人権分科会において人権デュー・ディリジェンスの継続的なモニタリングや課題の審議・評価をおこない、その中の重要事項については、経営会議を経て取締役会に報告・上程することで、取締役会の監督のもと、実効性のある推進体制を構築しています。
人権尊重の推進体制2020年に CSR 基本方針の一つとして人権方針を制定して以来、毎年および必要が生じた時点でその内容を見直しています。
2023年1月、企業による人権尊重への取り組みの重要性が高まり、当社グループのみならずバリューチェーン全体を通じた取り組みが必要であるとの認識のもと、国際規範等を参照した内容へと人権方針を全面的に改訂するとともに、尊重する人権の例を人権方針付属書に明記しました。改訂にあたっては、人権に関する外部専門家の助言を受け、人権デュー・ディリジェンスの実施に関わる部門で議論を重ね、サステナビリティ委員会の確認、そして取締役会の承認を得ました。また、2024年12月には人権方針付属書を改訂し、「先住民・地域コミュニティの権利」および「警備における人権尊重」に関する項目を追加しました。

当社グループの事業活動に関する人権リスクについて、その特定・評価、防止・軽減に取り組んでいます。
人権リスクの特定にあたっては、当社グループの主なバリューチェーンと関連するステークホルダーを整理し、バリューチェーンごとに一般的に想定される人権リスクを抽出しました。そして、国際機関などのレポート、メディアのデータベースなどの調査や他社ベンチマークを参考に、当社グループの人権リスクを整理しました。そのうえで人権影響評価を実施してマッピングをおこない、重点領域に挙がる人権リスクを特定しました。
人権への影響度:深刻度(人権侵害の規模、範囲、是正不能性)および発生可能性で評価| 当社グループ | サプライチェーン |
|---|---|
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この結果を踏まえ、現在は、直接的に働きかけることが可能な当社グループ、そしてサプライチェーンを中心に、重点領域に挙がった人権リスクを優先して人権尊重の取り組みを進めています。
| 人権リスク | 主な取り組み |
|---|---|
| 不十分な労働安全衛生 | 休業災害の撲滅に向けて、設備のハード対策やリスクアセスメントの徹底などの安全対策を継続的に実施しています。 |
| 環境汚染による地域住民の健康被害、水アクセスの阻害 | 環境事故や環境汚染を未然に防止するため、大気、水質、騒音、振動などについて、各拠点において法規制値および自治体などとの協定値に基づく自主基準 |
| 長時間労働 | 長時間労働の防止に向けてワークルール(定時退社日の設定、深夜勤務や1日5時間超残業の原則禁止、勤務時間インターバル10時間確保など)の策定や労使協定による労働時間の削減、PCログと打刻差異の見える化などを実施しています。 |
| 差別 | 従業員向けに発行している『コンプライアンスガイドブック』やメールマガジン「コンプライアンス通信」において、差別とみなされる具体的な例を挙げて注意を促しています。 |
| 苦情処理メカニズムの機能不全 | 海外グループ会社における内部通報制度の認知度と有効性の向上に向けて、グローバルコンプライアンスガイドブックを通じた周知を実施しています。 |
| 民間・公共警備の利用 | 事業所、工場によって警備に関する状況が異なるため、それぞれの状況に応じた警備を実施しています。 |
サプライチェーンにおける人権リスクについては、『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を直接のお取引先さまに展開しています。さらに、定期的な調査を通じて状況を確認し、改善が必要な場合は対話を通じた是正支援を実施しています。また、社会情勢の変化や当社グループの事業の進展、新しいお取引先さまの開拓などにより、特定した人権リスクが変化しうることを認識しています。そのため、取り組みの実効性を高めるべく、人権デュー・ディリジェンスの実施に関わる部門が中心となって、リスクマップを定期的に見直しています。
当社グループおよびサプライチェーンにおける人権尊重の状況は、定期的に調査を実施して確認しています。
従業者に対するコンプライアンス意識調査、グループ会社に対する人権・労働調査を実施し、人権侵害の有無や潜在的な人権リスクを確認しています。
サステナビリティの取り組みをサプライチェーン全体で推進するため、『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を発行し、お取引先さまに展開しています。このガイドラインには、人権・労働、安全衛生など、人権に関する遵守事項も含んでいます。
お取引先さまの取り組み状況は、2年ごとにチェックシートを用いて調査し、その結果をフィードバックしています。フォローアップが必要なお取引先さまに対しては、訪問等によって状況を確認しています。また、改善が必要な場合は、適宜支援をしています。
なお、2025年度から、グループ会社のお取引先さまへの調査も開始しました。
| 当社グループ | コンプライアンス意識調査 |
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|---|---|---|
| 人権・労働調査 |
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| サプライチェーン | CSR・サステナビリティ調達ガイドラインのチェックシートによる調査 |
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調査を通して把握した課題や潜在的な人権リスクについては、必要に応じて改善策を講じ、未然防止に努めています。
具体的な事例としては、2024年度にタイのグループ会社において、就業時の安全配慮の観点から雇用前に妊娠・感染症検査を実施していることが判明しました。これは差別に繋がる可能性があるため、国際的な人権基準に照らし合わせて当該検査を廃止しました。また、他のグループ会社では同様の検査を実施していないことを確認しています。
人権に関するリスクは、人権デュー・ディリジェンスなどの仕組みを整えたとしても、完全になくすことはできず、依然として存在します。なぜなら、仕組みの限界や予期せぬ事態、また人権問題の複雑さに起因することが多く、加えて人権基準も国、地域、時代によって変化するためです。これらのリスクを低減するため、当社およびグループ会社を対象とする調査を毎年実施するとともに、判明した事案についての速やかな是正・開示プロセスを継続していきます。
| 人権課題 | 取り組み | 具体的な対応 |
|---|---|---|
| 労働条件と機会均等 | 労働条件通知書の見直し | 雇用前に労働条件を把握しやすいよう内容の見直しをおこない、フレックスタイム制の補足や退職を申し出るタイミングを追記しました。また、参照する社内規程の閲覧方法を記載しました。 |
| 働きやすい職場環境 | 寮の避難訓練 | 従業員の安全を守るため、寮や社宅でも避難訓練を実施するべく、準備をおこないました。順次実施しています。 |
| 責任ある資源・原材料の調達 | 紛争鉱物に関する啓発 | 紛争鉱物に対する意識向上のため、必要なグループ会社に対して、紛争鉱物についての啓発を図りました。 |
お客さま、お取引先さま、従業者をはじめとするステークホルダーの皆さまからのご意見・ご質問・ご要望などを受け付ける窓口を複数設置しています。
お取引先さまおよび従業者からの人権に関する通報・相談については、各国の法規制に基づいて設置した内部通報窓口で受け付けています。受け付けた相談・通報については、規程に定める利用者の匿名性の確保と不利益な取扱いの禁止を徹底したうえで、事実関係を調査し、必要に応じて是正措置を講じる運用プロセスを構築しています。当該プロセスには、利用者(匿名ではない場合)への結果通知と、通報・相談後に不利益を被っていないかの確認も含みます。
公益通報者保護法に基づき、内部通報制度「企業倫理ヘルプライン」の窓口を社内外に設置しています。本窓口は日本語・英語、休日・夜間や匿名での通報に対応しており、お取引先さまおよび当社グループ従業者が利用可能です。2026年度からは、就活ハラスメント対策として、求職者も社外窓口をご利用いただける運用を開始しました。
グループ各社に、現地の言語で利用可能な内部通報窓口を設置しています。
ステークホルダーの皆さまとの相互理解に向けて、各種対話プロセスを実施しています。
従業者の代表である労働組合とは、労使懇談会による労働時間等の議論や、人権デュー・ディリジェンスに関わる部門との対話を定期運用しています。お取引先さまに対しては、相談窓口等を通じて相談を受け付け、寄せられた案件について協議と必要な是正対応をおこなっています。お客さまに対しては、RSCIやRBAによる外部監査・調査への対応を通じて、当社グループの人権・労働への取り組み状況を開示しています。工場近隣にお住まいの方々に対しては、住環境を脅かす事案がないかを含めて、その代表者と意見交換を実施しています。なお、2025年度には、人権専門の弁護士と担当役員との対話を実施しました。
人権をテーマとする労働組合との対話当社グループは、人権方針に基づいて教育・研修を実施しています。
当社グループで働く従業者に『コンプライアンスガイドブック』(海外は『グローバルコンプライアンスガイドブック』)を配付しています。
コンプライアンスガイドブックは、会社や社会におけるルールをまとめた冊子で、判断に迷ったときに、Niterraグループの一員としての正しい行動を確認するためのものです。人権尊重や、国際的な人権基準や各国法規制で禁止される各種ハラスメント(妊娠・出産・育児・介護休業等に関するハラスメント、同性に対するものや性的指向・性自認に関するハラスメントを含むセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントやモラルハラスメントなど)など、人権に関する遵守事項も定めています。職場で読み合わせをするなど、日々の啓発活動に活用しています。
国内グループの従業者を対象とする人権研修では、人権尊重の必要性、当社グループの人権方針、人権デュー・ディリジェンス、救済等に関する動画視聴とチェックテストを実施しています。また、各種研修、メールマガジンを通じて、ジェンダー平等やLGBTQ+に関する啓発を実施しています。
当社は2021年7月、法務省が推進する「Myじんけん宣言」プロジェクトの趣旨に賛同し、「Myじんけん宣言」を公表しました。
宣言文を持つ鈴木社長
当社の「Myじんけん宣言」