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TNFD提言に基づく情報開示

現在、世界では生物多様性の損失がかつてないほどの速度で進行しており、生態系サービスの低下を通じて、多岐にわたる社会的課題を生じさせています。当社グループは、これらを含む社会的課題の解決を優先的に取り組む経営課題の一つとしています。また、環境に関する中長期ビジョンである「エコビジョン2030」では、事業および製品が社会に及ぼす影響と自社に及ぼす影響を分析のうえ、影響が大きい13課題を抽出し取り組んでいます。
ネイチャーポジティブ社会の実現に向けて、TNFD提言の考え方を組み入れて、私たちの取り組みをさらに進化させていきます。

一般要件

TNFD提言は、開示レポート全体に共通する前提や基本認識として、6つの項目からなる「一般要件」を掲示するよう求めています。これらに対する当社グループの立場を以下に説明します。

1.マテリアリティの適用

当社グループは、優先的に取り組む経営課題(マテリアリティ)の特定において「ダブルマテリアリティ」の視点を採用しています。自然関連課題の評価においても、自社が自然に与える影響(インパクト)と自社が受ける影響(財務)の双方向を評価する「ダブルマテリアリティ」を適用しました。

2.開示のスコープ

今回の評価では、当社グループの主要事業である3事業(自動車関連事業、セラミック事業、新規事業)のバリューチェーンを対象に、各事業の代表的な製品について自然関連リスクの特定をおこないました。これにより、事業活動における主要な領域を網羅した開示範囲となっています。この評価に基づく開示範囲は、本レポートにおける「一般要件」をはじめ、ガバナンス、戦略、リスクとインパクトの管理、測定指標とターゲットの全領域に共通して適用します。なお、当社グループが推進するポートフォリオの最適化の進捗状況に合わせて、本評価の範囲や特定したリスク・機会については、今後も定期的な見直しとアップデートをおこなっていきます。

セグメント 代表的な製品 上流 直接操業 下流
自動車関連事業 スパークプラグ、酸素センサ 主原料の業界平均リスク 製造 物流、製品使用
セラミック事業 圧電セラミックス、半導体製造装置用製品 主原料の業界平均リスク 製造 物流
新規事業 ベアリング用ボール、固体酸化物形燃料電池(SOFC) 原料の業界平均リスク 製造 物流

3.自然関連課題の場所(ロケーション)

本開示において、当社グループの生産拠点(国内 15 拠点 、 海外 16 拠点)について、評価を実施しました。なお、2025年6月に新たにグループへ参画したNiterra Materialsについては、順次評価を進めていきます。

4.他のサステナビリティ関連開示との統合

本開示では、当社グループの自然関連課題についてTNFD提言に沿った開示をします。一方で、気候変動について重要な経営課題の一つとして捉えており、すでにTCFD提言に基づく開示をしています。自然関連課題および気候変動は切り離せない重要な環境課題であることをふまえ、2026年の統合報告書では、気候変動と自然関連課題の統合開示を予定しています。

5.考慮された時間軸

TCFDで設定した時間軸に合わせ、下記の通り定義しました。

  • 短期: 2027年頃まで
  • 中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
  • 長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで

6.自然関連課題の特定、評価における先住民、地域コミュニティ、影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント

当社グループは、事業活動が自然に影響を与えており、そのプロセスのなかには、先住民族や地域コミュニティ、および影響を受けるステークホルダーが含まれることを認識しています。自然関連課題の特定や評価において、有意義なエンゲージメントをおこなうため、今回、グローバルの生産拠点を対象に、先住民族や地域コミュニティにとって自然や生物多様性、生態系サービスが重要となっている地域との近接性について調査をおこないました。
当社グループでは人権方針のもとで、ステークホルダーに対する人権デュー・ディリジェンスを推進しています。自然関連課題におけるステークホルダーへの対応についても、こうした人権配慮の基本姿勢に基づき、 必要に応じた状況把握や誠実なエンゲージメントの推進に努めていきます。

ガバナンス

当社グループのすべての事業活動が環境やその基盤となる生物多様性に依存し、インパクトを与えていることを認識し、環境方針と生物多様性に関する指針のもと、環境活動を推進しています。環境統括責任者(社長)が任命する役員を委員長とする中央環境委員会(年2回の定例会および必要に応じて臨時会を開催)を設置しています。中央環境委員会は、エコビジョン2030の進捗状況やグループの環境関連課題の確認をおこない、継続的改善を図っています。また中央環境委員会での重要決定事項は、業務執行における重要事項を審議・決定・監督する経営会議を通じて取締役会に報告され、取締役会が監督しています。

また、当社グループの事業活動および生物多様性保全の活動は、地域社会や先住民の人権に影響を及ぼし得るものであることを認識しています。当社グループでは、人権方針に基づき、各部門・専門委員会がそれぞれの領域で人権課題への対応を推進しています。人権尊重の取り組みについては、コンプライアンス委員会傘下に設置した人権分科会において人権デュー・ディリジェンスの継続的なモニタリングや課題の審議・評価をおこないます。その中の重要事項については、経営会議を経て取締役会に報告・上程することで、取締役会の監督のもと、実効性のある推進体制を構築しています。

戦略

当社グループの事業を通じた依存・インパクト

当社グループの事業活動における自然関連の依存およびインパクトの全体像を把握するため、自然関連のグローバルな評価ツール「ENCORE」を使用してバリューチェーン全体を対象とした評価をおこないました。上流については主要な原材料が属する産業・業界区分を、直接操業については、製造業としての固有の製造プロセスをENCOREの評価項目対象と紐付けて分析しました。下流については、物流(輸送)分野の評価に加え、当社グループの売上高の80%を占める自動車関連事業の当社部品が搭載された最終製品使用時における依存とインパクトをあわせて分析しました。これらの結果をヒートマップに整理し、当社グループのバリューチェーンにおける依存・インパクトの高い項目(依存度が「High(H)」、インパクトが「Very High(VH)」および「High(H)」に該当)を特定しました。

図 事業ごとの依存・インパクト評価(ヒートマップ)
  • ヒートマップの詳細はAppendix①をご覧ください。

表 バリューチェーンにおける依存・インパクト

自然への依存 上流
  • セラミックや鉄鋼などの原材料である鉱物の採掘・精製・加工時の水資源の供給サービス、水循環・気候調整サービスへの依存
下流
  • 物流や当社部品が搭載された最終製品(自動車等)の利用時における気候調整サービスへの依存
自然へのインパクト 上流
  • セラミックや鉄鋼などの原材料である鉱物の採掘時の土地利用
  • セラミックや鉄鋼などの原材料である鉱物の採掘・精製・加工時のGHG排出や水利用、廃棄物、大気・土壌・水質の汚染
直接操業
  • 当社グループでの製品製造時のGHG排出や水資源の利用、廃棄物、大気・水質・土壌汚染
下流
  • 自動車や船舶等による製品輸送時のGHG排出、大気汚染、環境のかく乱

特定したリスクと機会とその影響評価

依存・インパクトの評価結果をもとに、自然資本に関連するリスク・機会を抽出しました。リスクについては、シナリオを用いて影響度や発生可能性などを整理しています。シナリオはTNFD提言が推奨する4象限のマトリクスに基づく4つの定性シナリオのうち「シナリオⅠ:移行が進み、生態系が回復する世界」と「シナリオⅢ:移行が停滞し、生態系が劣化する世界」について、それぞれ評価をおこない、中程度以上のリスクを特定しました。

(1)シナリオ分析のプロセス

TNFDシナリオ分析ガイダンスで提案されているプロセスに則り、生態系の劣化(物理リスク)と市場/非市場のドライバーの整合(移行リスク)の2軸をベースにした、4つの定性的なシナリオを用いました。次に、リスク・機会の検討に資するシナリオとするため、各シナリオ下での当社グループを取り巻く外部環境の変化要因の変化の方向性を具体化しました。そして、想定した外部環境下での当社グループの事業における自然関連リスク・機会を検討しました。

図 4つの定性シナリオ

(2)当社グループの特定したリスクと優先度(評価結果)

シナリオⅠ:移行が進み、生態系が回復する世界

分類 関連する自然への依存・インパクト 直接操業/上流 リスクの詳細 影響度※1 発生可能性/切迫度※2 優先度※3 対応
移行 政策 【インパクト】汚染/汚染除去 直接操業 ●排水に関する規制・条例等の強化
●排水制限への対応策であるクローズドシステムの導入、運用コストの増大
4
  • 各拠点の排水処理施設における規制値より高い水準による水質管理
  • Niterraインドにおいてクローズドシステムを導入
【インパクト】資源利用/回復 直接操業 ●バージン材の使用規制やリサイクル材の利用義務化などの規制・条例への対応の必要性(鉱物資源を含む)
●規制に伴う原材料調達の困難化・価格高騰
4
  • バージン材の使用規制やリサイクル材の利用義務化に伴う原材料調達リスクについて、2026年度に詳細評価のロードマップを策定し、段階的に評価を開始
【インパクト】陸域生態系の利用、水資源の利用、大気・水質・土壌汚染、廃棄物(鉱物生産地) 上流 ●採掘時の環境管理に関する規制の強化による鉱物供給量の減少や、生産コスト増に伴う鉱物価格上昇 3
  • 鉱山周辺の生態系・自然保護区に関する規制リスクについて、詳細評価のロードマップを策定中
【依存】水資源の供給
【インパクト】資源利用/回復
上流 ●取水制限による水の調達コストの増大による鉱物供給量の減少や、生産コスト増に伴う鉱物価格上昇 3
  • 調達先の水ストレス(水不足)に伴う操業停止リスクについて、2026年度に詳細評価のロードマップを策定し、段階的に評価を開始
【インパクト】陸域生態系の利用、水資源の利用、大気・水質・土壌汚染、廃棄物(鉱物生産地) 上流 ●自然保護のための採取・採掘規制(土地改変も含む)等の導入による原材料の供給不足、価格高騰 4
  • 鉱山周辺の生態系・自然保護区に関する規制リスクについて、2026年度に詳細評価のロードマップを策定し、段階的に評価を開始
【依存】水資源の供給
【インパクト】資源利用/回復
上流 ●地表水/地下水など水資源の取水に関する規制・条例等の強化等の導入による原材料の供給不足、価格高騰 4
  • サプライチェーンにおける水資源依存に伴う調達リスクについて、2026年度に詳細評価のロードマップを策定し、段階的に評価を開始

シナリオⅢ:移行が停滞し、生態系が劣化する世界

分類 関連する自然への依存・インパクト 直接操業/上流 リスクの詳細 影響度※1 発生可能性/切迫度※2 優先度※3 対応
物理的 急性/慢性 【依存】気候調整、災害緩和、土壌安定 直接操業 ●周辺地域の開発に伴う自然の災害緩和・土壌安定機能の低下による生産拠点での風水災・土砂災害被害 3
  • 事業継続リスクマネジメント体制の構築と事業継続計画の策定
急性/慢性 上流 ●周辺地域の開発に伴う自然の災害緩和・土壌安定機能の低下によるサプライヤー・調達網の風水災・土砂災害被害、原材料調達の困難化 3
  • 『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』に基づく、お取引さまへのBCP策定の要請と連携
  • 材料・部品などの重要購買品の複数購買
慢性 上流 ●周辺地域の自然が劣化することに伴う自然の災害緩和・土壌安定機能の低下によるサプライヤー・調達網の風水災・土砂災害被害、原材料調達の困難化 3
  • 『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』に基づく、お取引さまへのBCP策定の要請と連携
  • 材料・部品などの重要購買品の複数購買
急性 【依存】水資源の供給 直接操業 ●過剰取水・水質汚染による水資源の劣化や水資源供給の不安定化(上流の他者による過剰取水・汚染も含む) 4
  • 当社グループの製造拠点のうち、水リスクが高い拠点について、2026年度に詳細評価を実施。
慢性 直接操業 ●自然の保水力や涵養能力低下に伴う水資源量の減少
●水質浄化能力の低下に伴う水質悪化
4
  • 当社グループの製造拠点のうち、水リスクが高い拠点について、2026年度に詳細評価を実施。
  • 各拠点の排水処理施設における規制値より高い水準による水質管理
慢性 上流 ●自然の保水力や涵養能力低下に伴う水資源量の減少
●水質浄化能力の低下に伴う水質悪化
4
  • サプライチェーンにおける水資源リスクについて、2026年度に詳細評価のロードマップを策定し、段階的に評価を開始

※1 影響度の目安は次の通りです。事業継続、信頼・ブランド、経済の視点で最も高い影響度によって評価しました。

事業継続への影響 信頼・ブランドへの影響 経済的影響
極大 事業の継続が困難 恒久的な信頼・ブランドの喪失(長期にわたる批判的な報道、多数の投資家の投資撤退、顧客・取引先の喪失) 売上高に著しい影響を与える
事業の継続のために設備や製品の抜本的な見直しを要する 著しい信頼・ブランドの喪失(一時的な批判報道、一部投資家の投資撤退、一部顧客や取引先の喪失) 売上高に与える影響が大きい
事業の継続のために設備や製品の改修・見直しを要する 信頼・ブランドの損失(一部メディアでの批判報道、投資家評価の低下、多くのステークホルダーの不満足の表明) 売上高に与える影響が中程度
事業の継続のために操業や調達先の見直し、軽微な変更を要する 信頼・ブランドの軽微な影響(一部のステークホルダーの不満足の表明) 売上高に与える影響が軽微

※2 発生可能性 /切迫度の目安は次の通りです。発生可能性と発生時期で最も高い影響度によって評価しました。

  • 可能性が高い(1年に1回以上発生)
  • 2027年頃までに顕在化すると見込まれる(あるいはすでに顕在化している)/喫緊の課題として認識されている
  • 可能性が中程度(数年に1回発生)
  • 2030年ごろまでに顕在化の懸念がある・高まっている/兆しが見受けられる/注視する必要がある
  • 可能性は低い(滅多に発生しない)
  • 現状顕在化の懸念は低い

※3 優先度の評価

特定された各自然関連リスクの優先度については、「影響度」と「発生可能性/切迫度」の2つの軸を掛け合わせたリスクマトリクスに基づき、1(最優先)から4の4段階で定性・定量的に評価・分類しています。マトリクスにおける空白の領域(例:影響度が「中」「小」かつ発生可能性が「低」など)については、現時点で経営および自然環境へのインパクトが極めて軽微であると判断しています。

図 優先度の評価

優先地域の特定

当社グループは、TNFD提言が推奨する評価プロセスに基づき、自然関連の評価対象となるロケーションを「要注意地域(センシティブロケーション)」および「重要地域(マテリアルロケーション)」を抽出し、そのいずれか、または双方に該当する地域全体の総称を「優先地域(プライオリティロケーション)」として特定しました。要注意地域としては、TNFDが示す4つの観点(「生物多様性の重要性」「生態系の十全性」「生態系サービス供給の重要性」「水の物理的リスク」)に基づき、IBATやWRI Aqueductなどの国際的なデータベースを活用して、自然環境の観点から慎重な管理が求められる拠点を抽出しました。重要地域については、拠点ごとの事業の継続性・生産重要度とプロセスにおける環境負荷について評価し、抽出しました。これらの「優先地域」に該当するなかから、詳細評価(Evaluateフェーズ)へ速やかに移行するため、要注意地域の要件(自然環境リスク)と重要地域の要件(事業の重要性)が重複する領域を、当社グループが最も優先して取り組むべき『最優先拠点』(計6拠点)として特定しました。

図 優先地域と最優先拠点の定義
  • 特定に用いた指標や使用データベースなどの詳細なプロセスは、Appendix②をご参照ください。

特定した最優先拠点

拠点 選定理由
(株)日特スパークテックWKSさつま工場 日本 スパークプラグの主力工場の一つであり、生物多様性の重要性、生態系の十全性が高い地域に位置する。
Niterra ブラジル(有) ブラジル スパークプラグの主力工場の一つであり、生物多様性の重要性、生態系の十全性、および水の物理的リスクの複数のリスク指標に該当する。
サイアムNiterra(株)、Niterra タイ(株)、Niterra アジア(株) タイ 工程における水利用量が多く、地域の水の物理的リスクが高い。
Niterra インドネシア(株) インドネシア

最優先拠点における詳細評価と今後の対応

特定したこれらの最優先拠点については、自然関連のリスクおよび機会の解像度を上げ、より実効性の高い対応策を講じるため、順次さらなる詳細評価を進めています。
先行して実施した、さつま工場における詳細な自然関連の依存度・インパクト評価の結果、およびそれに基づく具体的なリスク対応策については、Appendix③に詳細を開示しています。今後は、ブラジル、タイ、インドネシアの各拠点についても同様に詳細評価を段階的に進めていきます。

リスク・インパクト管理

自然関連の課題の特定・評価プロセス

当社グループは、自然関連の依存度・インパクト、およびそれに伴うリスクと機会を適切に把握するため、TNFD提言が推奨する「LEAPアプローチ」(Locate:発見、Evaluate:診断、Assess:評価、Prepare:準備)をベースとした分析・評価を進めています。
実務的なステップとして以下の5つの「取組プロセス」を定義し、体系的なアプローチを実施しています。

① 全体像の把握(スコーピング、依存関係とインパクトのスクリーニング)
当社グループのビジネスモデルとバリューチェーン全体の範囲を定義し、自然との接点、および依存関係・インパクトの初期的なスクリーニングをおこないました。

② 優先地域の特定(最優先拠点の抽出)
自然環境の観点から慎重な管理が求められる要注意地域(自然の重要性や水の物理的リスク等)と、当社グループの事業重要性を重ね合わせ、最も優先的に取り組むべき拠点を特定しました(詳細は「戦略」およびAppendix②を参照)。

③ 重大なリスクの特定(リスクと機会の測定・優先順位付け)
特定された優先拠点を中心に、自然の劣化や国内外の法規制強化に伴う、当社グループの事業活動への潜在的なリスクおよび機会を洗い出し、その重要性の評価をおこないました(詳細は「シナリオ分析」を参照)。

④ 優先拠点の調査・詳細評価(戦略とリソース配分計画)
特定された重大なリスクに対し、各ロケーション固有の依存関係やインパクトの解像度を上げるため、詳細評価(LEAPアプローチに基づく詳細調査)のロードマップを策定し、段階的な深掘り調査を推進しています。

⑤ 開示(報告・公表)
これら一連の評価プロセスを通じて得られた知見、特定されたリスク・機会、および当社グループのレジリエンス(対応策)について、本レポートを通じてステークホルダーの皆さまへ透明性高く開示しています。

自然関連課題の管理プロセス

上記プロセスを経て抽出された重要な自然関連リスクおよびインパクトについては、中央環境委員会において目標・KPIの設定、実績の管理をおこなっていきます。

自然関連リスクの全社的リスク管理への統合

当社グループはグローバルかつ多くの分野で事業を展開しており、事業ごとにさまざまなリスクと機会があることから、事業ごとにリスクと機会を把握して、それぞれに対応しています。生物多様性の保全を含む環境に関するリスクと機会についても、規制動向などを注視して事業への影響をそれぞれに評価し、対応していきます。
リスクマネジメント委員会では、リスクについて、全社的見地で事業存続や目標達成に大きな影響を及ぼすか否かを、影響度と発生可能性、およびその対策状況を分析して評価しています。重点的な対応が必要と評価されたリスクは「優先リスク」として主管部門を定め、リスクマネジメント委員会で低減活動の状況を確認しています。環境や人権をはじめとするESGに関するリスクについても評価しており、今後は生物多様性関連リスクもあわせて検討していきます。一方、重要な機会については、サステナビリティ委員会で確認し、必要に応じて経営戦略や優先的に取り組む経営課題に反映しています。

指標とターゲット

当社グループは、自然関連の依存・インパクト、およびリスクと機会を評価・管理するため、定量的・定性的な指標を用いたモニタリングおよび目標設定をおこなっています。本開示では、TNFDが提言する「グローバル中核指標」と、当社グループの「エコビジョン2030」であげられた達成目標の2つの軸でパフォーマンスを開示します。

TNFDグローバル中核指標にもとづくパフォーマンスデータの開示

当社グループの事業活動が環境へ与えるインパクトを正確に把握するため、本社や営業拠点を含む、国内9社、海外21社(全60拠点)において環境パフォーマンスデータの収集をおこなっています。TNFDのグローバル中核指標に対する当社グループの対応および開示状況は以下の通りです。

測定指標番号 自然の変化の要因 指標 測定指標 2024年度データ
- 気候変動 GHG排出量 ※ISSB のIFRS S2 号「気候関連開示」を参照 別途開示(気候変動セクター)
C1.0 陸・淡水・海洋利用の変化 合計の空間フットプリント ●合計の空間フットプリント 今後開示
C1.1 陸/淡水/海洋の利用変化の範囲 ●陸・淡水・海洋の利用変化の規模(km2)
●保全・復元した陸・淡水・海洋の面積(km2)
●接続的に管理されている陸・淡水・海洋の面積(km2)
該当なし
C2.0 汚染/汚染除去 土壌に放出された汚染物質の種類別総量 ●土壌に放出された汚染物質の種類別総量(t) 該当なし
C2.1 排水量 ●排水量(総量、淡水、その他) ●総量 154.2万m3
(放流先別)
-淡水の地表水 125.5万m3
-第三者の放流先 28.7万m3
C2.2 廃棄物の発生と処理 ●発生した廃棄物・有害廃棄物の重量(種類別)(t)
●以下に分類した廃棄物・有害廃棄物の量
-焼却処分したもの
-埋立されたもの
-その他
●埋立から転換された量
-再利用
-リサイクル
-その他のリカバリー方法

●廃棄物総量 20,332 t
(内訳)
-焼却処分 609 t
-埋立処分 1248 t
-リサイクル 16718 t
●有害廃棄物総量(日本)609 t
(内訳)

-焼却処分 2 t
-埋立処分 59 t
-リサイクル 549 t

プラスチック汚染 ●使用または販売したプラスチックの重量(t)(原料別に)
●プラスチック容器について、再利用可能/コンポスト可能/技術的にリサイクル可能/実用的に大規模にリサイクル可能なものの割合(%)
該当なし
C2.3
C2.4 GHG以外の大気汚染物質の総量 ●タイプ別の非GHG大気汚染物質の総量(t)
・ PM ・ NOx ・ VOCs ・ SOx ・アンモニア
今後開示
C3.0 資源利用/回復 水不足の地域からの取水量と消費量 ●水が枯渇している地域からの総取水・消費量(m3) 総取水量 239,561 m3
C3.1 陸/海洋/淡水から調達する高リスク天然一次産品の量 ●陸・海・淡水から調達する高リスク自然コモディティの種類別量(t)
●持続可能な管理計画または認証プログラムのもとで調達されている高リスク自然コモディティの量(t)
今後開示
C4.0 侵略的外来種など プレースホルダー指標:侵略的外来種(IAS)の非意図的導入に対する対策 ●高リスク活動のうち、侵略的外来種の偶発的な導入を防ぐための適した方法を取っているものの割合または、低リスクとされた活動の割合
C5.0 自然の状態 プレースホルダー指標:生態系の状態 ※自然の状態に関する指標を開示することを選択する組織は、以下のインディケーターを使用することを推奨
・生態系のタイプ、事業のタイプ別に、生態系の状態のレベル
・種の絶滅リスク
プレースホルダー指標:種の絶滅リスク

エコビジョン2030での管理指標およびパフォーマンスデータの開示

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて中長期環境目標「エコビジョン2030」を策定し、自然関連課題と深く関わる以下の「重要4課題」を中心に、2030年のありたい姿(目標)を定めて取り組みを推進しています。気候変動への対応、水資源の保全、廃棄物管理について定量的な目標を設定し、その進捗についてモニタリングしています。

2040
目指す姿
2030
ありたい姿(目標)
2024年度目標 2024年度実績
気候変動への対応 脱炭素化社会実現に向けて活動を実践している
※2050年にカーボンニュートラルを目指す
CO2排出量
2018年度比
スコープ1・2 46%削減
スコープ3 30%削減
CO2排出量
2018年度比
スコープ1・2 10%削減
スコープ3 ―
CO2排出量
2018年度比
スコープ1・2 31.7 %削減
スコープ3 13.4 %削減
水資源の保全 世界の水関連リスクに対応して持続可能な事業運営を実践している 水使用量原単位 2018年度水準以下を維持 5.4 万㎥/百万円 3.91万㎥/百万円
廃棄物管理 ゼロエミッションを推進し、世界の循環型社会の形成に貢献している 有効利用率 95%以上
2018年度比 原単位年1%以上削減
有効利用率 ―
原単位 0.075 t/百万円
有効利用率 90.6 %
原単位 0.051 t/百万円

今後の展望

今後、特定した最優先拠点(さつま、ブラジル、タイ3社、インドネシア)における自然関連リスク・機会の詳細評価(LEAPアプローチに基づく深掘り調査)を進めたうえで、当社グループの重大な自然関連の依存・インパクト、リスク・機会をより実緻に管理するための指標や目標(ターゲット)のあり方について、さらなる検討を進めていきます。

株式会社ディ・エフ・エフ, 日本特殊陶業株式会社